人が暗闇のなかで生きている人生が明るみに出され、

人がたえず歪めている人生があるがままの
真実のすがたへひき戻され、

要するに人生がひとつの書物のなかに実現される、

そんなふうに感じられる今、
私にとって人生はなんといっそう
生きるに値するものと思われることだろう!

と私は考えた。

吉川一義 編訳 「『失われた時を求めて』名文選」から

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