人が愛するのは、いまだ完全に所有するに至らないものだけである…
愛する相手の沈黙に耐えることは、自分が沈黙守ることにもまして…
兵士は戦死するまでに、盗人は捕まるまでに、ふつうの人は死ぬべ…
脇目もふらずある人を愛すると、つねにべつのものを愛することに…
時がたつと、嘘のつもりで言っていたことがどれも少しずつ真実に…
嘘とは、最も必要にして最もよく使われる自己保存の道具なのであ…
人は自分が欲望をいだくのは罪なきことだと考え、他人が欲望をい…
陰口は、観念論哲学者の奇術のような手際のよさで、そうした外観…
精神が外観にすぎないものを実態だと思い込む、そんなまがいの見…
吉川一義 編訳 「『失われた時を求めて』名文選」から 老いと…